イタリアで、渡りを知らないハイイロガンのヒナを人間が育て、渡りの特訓をするという内容でしたが、も~ヒナ達のかわいいことったら
このヒナ達の親は「越冬地分散化計画」で、ヒナの頃ここに人間の手によって連れて来られているので、渡りを知らないということでした。
ガンカモ類やニワトリは「刷り込み」といって、孵化して最初に見た動くものを親とみなし、そのあとを追いかけるようになります。
その習性を利用して、あるハンググライダーの操縦士の男性を親と思わせ、約6ヶ月間ヒナ達と寝食を共にし、ハンググライダーで毎日のように飛行訓練をし、ついに6ヶ月後のある風のない穏やかな日に渡りへと出発したのです。
距離は500キロ。
ヒナ達の体力を考え、10日かけての渡りです。
ハンググライダーにカメラが搭載されているので、飛行中のヒナ達の様子もしっかり見られます。
「お母さんまだ着かないの? きついよー」と言ってるかのような表情に見える場面も

高度を下げてはいけない所で、疲れのせいかヒナ達の高度が下がっていった時は、も~見てる私の方がドキドキもので疲れました
そして10日かけて無事に目的地までたどり着くことができました

ヒナ達の表情がちょっぴり大人っぽく見えました

人間が渡りを教えるなんて不自然なことですが、実際この「越冬地分散化計画」は国際的な取り組みなのです。
渡り鳥の越冬地が1ヶ所に集中していると、万一病気が発生した時に多くの命が失われます。
これは種の保存を脅かします。
まして絶滅危惧種ならなおのこと。
日本のツルの越冬地も鹿児島県出水市に集中しているため、佐賀県伊万里市や山口県周南市、高知県中村市への分散化計画が行われていますが、なかなかうまくいきません。
各地ともここ数年の越冬数は数羽程度です。
周南市で放鳥しても、その後周南市に戻ったケースはまだないそうです。
昔は日本のあちこちに飛来していたツル。
あちこちに「鶴」がついた地名があるはずです。
そこは昔、ツルが飛来し越冬していた証です。
環境を破壊し、人間の利益ばかりを優先してきた結果、ツルの越冬地がほとんどなくなってしまいました。
1ヶ所に集中させたのは、まぎれもなく人間です。
私は、生きとし生けるもの全てが、この地球上において平等に平和に自由に生きる権利があると考えています。
野性の生き物が安心して暮らせる所は、人間にとっても暮らしやすい所のはずです。
いつしか昔のように、日本中でツルが乱舞する光景をこの目で見てみたい。